お彼岸とは
お彼岸は春分の日と秋分の日を中日とする前後3日間の合計7日間をいいます。
彼岸は、梵語のパーラミター(波羅蜜多・はらみた)の漢訳「到彼岸」からきた言葉で迷いの世界(私達が暮らしている世界・此岸(しがん)から、悟りの世界(仏様の住んでいる悟の世界・彼岸)」にいたるという意味です。
仏教では悟りへの道として布施(ふせ)・持戒(じかい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・知慧(ちえ)の六波羅蜜がいわれます。
布施…人に施す
持戒…戒めを守ること
忍辱…耐えること
精進…努力すること
禅定…心を落ち着けること
知慧…真理にもとづく考え方や生き方をすること
又、古歌にも、「人をのみ渡し渡しておのが身は、岸に上がらぬ 渡し守かな」とあります。
私達、仏教を信ずる者は、このように自分だけが幸せをつかめばよいのではなくて、いつでも他人のために働く生活の中に、自分をみがく心がけを持っていなければなりません。それがそのまま御先祖への供養なのです。
施餓鬼とは
施餓鬼は、飢えた餓鬼(死霊や無縁仏)に供養することをいいます。
昔、お釈迦様の弟子の阿難尊者が修行していると、一匹の餓鬼が現れ「あなたの命は三日後に迫っている」と告げました。阿難尊者は驚き、お釈迦様にそれより逃れる方法を聞くと「多くの餓鬼に飲食を施し、さらに三宝に供養するならば、その苦より離れ天上界に生まれることができるであろう」と説かれました。
無量の飲食供養の仕方を教わりその供養をすることで、阿難尊者みずからも餓鬼道に堕ちることなく、さらには多くの餓鬼も苦から救われたというものです。
お盆(盂蘭盆会)とは
お盆(正しくは、盂蘭)は、インドの言葉でウランバナに由来します。
又、ウランバナには別に漢訳の文字があり、それを(倒懸・とうけん)といいます。このウランバナの意味は、逆さまにつるされたような苦しみは、地獄の苦しみという意味です。
お釈迦様の弟子の目蓮尊者が、亡き母が今どこに行っているかを自らの神通力で見たところ、餓鬼道に落ちて苦しんでいました。それを見て目蓮尊者は母がどうしたら救われるのかを尋ねました。お釈迦様は、7月15日は修行を終えたお坊さん達が伝道にでる日だから御供養しなさい。といわれました。目蓮尊者のお母さんは、その供養の功徳によって救われました。
このお話に由来し、逆さづりの餓鬼道の苦しみに堕ちないよう、先祖の霊に供養するという盂蘭盆会が行われるようになりました。又、日本ではお盆は先祖の霊があの世から帰ってきて家族と一緒に楽しいひとときを過ごし、また帰っていくという日本古来の信仰に基づく行事でもあります。
お墓参りについて
一年を通じて初詣、春の彼岸、お盆、施餓鬼、秋の彼岸には、お寺にお参りすると同時に、お墓参りにも出かけます。又、年頭にお墓参りに行き供物(故人の好物をさし上げる)をささげて先祖に感謝し1年の安泰をお願いいたします。
お墓参りをするときは、先ず菩提寺の本堂にお参りし、墓所に行きましょう。
<持参するもの>
花・マッチ・線香・供物・雑巾・たわし・半紙・数珠など
掃除用具(ほうき・鎌・ちりとりなど)
1.お墓に着いたら合掌礼拝しましょう。
2.お墓の掃除をします。(お墓の周辺も掃除しましょう。)
3.墓石は水をかけタワシなどできれいに洗います。
4.花立ての水を替えます。
5.線香台もきれいにします。
6.供物は、二つ折りにした半紙の上に置きましょう。
7.墓石に水をかけ、線香をあげて合掌礼拝します。
8.花以外の供物は、お参りが終わったらなるべく持ち帰るようにしましょう。供物をそのままにしておくと腐ったり、犬・猫・鳥などに食べ散らかされて墓所がよごれてしまいます。
精霊棚のまつりかた
精霊棚の作り方は、ごく簡単です。
オガラや竹などを組んで左右に骨組を作り、そこに盆花(みそはぎ・ききょう・おみなえし・ゆり・なでしこ・ほおずき等)を飾りつけ、十六ささげ (さやの付いたままの豆)を下げます。
棚には蓮の葉の上に新鮮な野菜(ナスやキュウリ)を供えます。また真菰筵(まこもむしろ)を敷いてその上に野菜を供えるところも多いようです。
そうめんや果実を供える例も一般的ですが、ほおずきの他にはまなすなど赤い実を飾る風習もあります。
お仏壇について
臨済宗では、特に決められたお仏壇のまつり方はありません。一般的なまつり方を紹介します。
最上段の中央にご本尊を安置します。(臨済宗はお釈迦様の悟りを自己のうちに自覚するというのが宗旨ですから、本尊は立てていません。ですから、菩提寺のご本尊か、或いは自分の家が代々まつってきたご本尊でいいのです。)
ご本尊にむかって右に達磨大師の軸をかけます。次の段に先祖の位牌を安置しますが、これも向かって右から古い位牌を安置します。最近では、小さい仏壇も有りますので工夫して置いて下さい。
その他の仏具は、左図のように飾って下さい。
ローソク立て | 灯明をともすという事は、煩悩によって覆いかくされた心の闇を仏の正しい智慧によって明るくするという意味があります。 |
香 炉 | 香は自分自信を清浄にする為にたきます。 |
花 立 | 花をいけます。 |
仏 飯 | 毎朝、食事をする前に炊きたてのご飯を供えるための器です。 |
茶湯器 | お茶・お湯を入れる器です。 |
霊供膳 | 法事・故人の命日に御供えするお膳です。(料理は精進料理) |